なぜそうなるか

遺品整理を業者に頼むとき、不用品を運ぶ許可を持つべきなのは誰か——横浜市・藤沢市・福岡市の案内を並べました

実家の片付けを、業者に頼もうという話が出ました。

見積もりを取る前に、ひとつ気になったことがあります。家から出る大量の不用品は、誰が、どういう許可で運んでいくのでしょうか。

業者のホームページには「古物商許可」や「遺品整理士」といった言葉が並んでいました。それが運ぶための許可なのかどうかは、書かれ方からは読み取れませんでした。

そこで、自治体が住民向けに出している案内を探しました。

横浜市、藤沢市、福岡市の3つが、遺品整理で出るごみの扱いを1ページにまとめていました。あわせて、国民生活センターが遺品整理サービスの相談について公表した資料も開いています。

ここでは、それぞれの原文を引き、許可の有無をどう確かめるよう案内しているかを整理します。特定の業者の良しあしや料金の相場には触れません。

この記事でわかること
・遺品整理で出た不用品は、藤沢市の案内では一般廃棄物にあたる
・運ぶには「一般廃棄物収集運搬業」の許可が要る
・業者が許可を持たないときは、出す側が許可業者と契約する形になる
・古物商許可・遺品整理士・産業廃棄物の許可では、家庭のごみは運べない
・福岡市には、遺品整理と引越しに限った許可がある

遺品整理で出たものは、何ごみになるの?

遺品整理で出た不用品は、ふつうの家庭ごみと同じ扱い?

藤沢市の案内は、一般廃棄物にあたると書いています。

藤沢市のページは、遺品整理を自分で行った場合も、業者に片付けを頼んだ場合も、処分が必要な不用品が出ると前置きしています。そのうえで、こう続けていました。

その際に発生した廃棄物は、一般廃棄物に該当します。

同じページは、業者が作業をした場合でも扱いは変わらないと注記しています。事業として片付けをしても、家庭から出たものが産業廃棄物になるわけではない、という書き方でした。

分別についても、横浜市と藤沢市は同じことを求めています。遺品整理であっても、通常の家庭ごみと同じように分別する、という案内です。

運ぶには、どんな許可が要るの?

片付けを頼んだ業者なら、そのまま持っていってもらえる?

運ぶには「一般廃棄物収集運搬業」の許可が要ります。業者がそれを持っているかを確かめるよう、2つの市が案内していました。

藤沢市のページには、許可の名前がそのまま出てきます。

廃棄物を処分業者まで収集・運搬するには、「一般廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。

横浜市のページも、同じ許可の名前を挙げて、確認を求めていました。

費用を支払ってこれを処分する場合、遺品整理を行う業者が、「一般廃棄物収集運搬業」の許可を持っているか、必ず確認してください。

ここで出てくるのは「一般廃棄物収集運搬業」という1つの許可です。遺品整理そのものの許可ではなく、ごみを運ぶための許可だという点が、2つの案内に共通していました。

業者が許可を持っていなかったら?

頼みたい業者が、その許可を持っていなかったら?

不用品を出す側が、許可を持つ業者と契約する形になる、と両市とも書いています。

横浜市の案内です。

不用品を出す方と「⼀般廃棄物収集運搬業許可業者」が直接契約する必要があります(遺品整理業者にこの契約を委任することは可能です)。

藤沢市も、ほぼ同じ形を示していました。

遺品整理業者等が「一般廃棄物収集運搬業」の許可を持っていない場合には、廃棄物を出す方が、「一般廃棄物収集運搬業許可業者」と、廃棄物の処理について契約をしてください。(遺品整理業者等のサポートを受けて、許可業者との契約を行うことは可能です。)

どちらも、遺品整理の業者に手伝ってもらうことまでは否定していません。横浜市は「委任」、藤沢市は「サポート」と言葉は違いますが、契約の当事者は不用品を出す側になる、という点は同じでした。

横浜市は別の道も挙げています。片付けそのものを請け負っている許可業者もいるので、片付けと処分を一緒に頼むこともできる、という案内です。

片付けに取りかかる前に、相続を放棄するかどうかがまだ決まっていない場合は、遺品に手を付けることの扱いを民法が定めています。条文は相続放棄を考えているとき、遺品に手を付けてよいのかに並べました。

チラシに並ぶ許可や資格では、何ができないの?

「古物商許可あり」「遺品整理士在籍」と書いてあれば安心?

藤沢市は、どれも家庭のごみを運ぶ許可ではない、と1つずつ説明していました。

藤沢市のページには、不用品回収や遺品整理のチラシによくある表現を挙げて、それぞれが何の許可なのかを並べた表がありました。

古物商許可については、こう書かれています。

古物商許可は、中古品などの売買を行うための許可です。この許可では「廃棄物」を運搬したり処分したりすることはできません。

遺品整理士については、民間の資格であることが明記されていました。

遺品整理士とは、一般社団法人「遺品整理士認定協会」が認定する民間資格です。遺品整理士の資格では「廃棄物」を運搬したり処分したりすることはできません。

産業廃棄物の許可も、表に入っていました。

産業廃棄物収集運搬業許可は、事業所(店舗・事務所等)から出る産業廃棄物を運ぶことができる許可です。この許可では「家庭ごみ」を運搬したり処分したりすることはできません。

一方で、古物商の許可が要る場面については、横浜市の案内に一文がありました。

なお、家財などの買取を行う場合は古物商の許可が必要です。

つまり、2つの許可は役割が分かれています。買い取るなら古物商、ごみとして運ぶなら一般廃棄物収集運搬業、という整理です(2市の案内を並べたのは当方です)。

福岡市の「限定の許可」とは?

遺品整理の業者が、自分で運べる場合はないの?

福岡市は、遺品整理と引越しで出る家庭系ごみに限った許可を出していました。

福岡市のページは、遺品整理と引越しの際に出る家庭系ごみに限った一般廃棄物収集運搬業の許可について案内しています。許可の対象は、業者が自ら請け負った遺品整理または引越しで出るごみです。

許可の条件には、こう書かれていました。

排出者がその事情等により、市の定期収集若しくは粗大ごみで排出し難い場合又は自ら市のごみ処理施設まで運搬し難い場合等、やむを得ない場合に限る。

この許可を持たない業者が請け負った場合については、別の案内が添えられています。

上記許可業者以外の者が請け負った遺品整理や引越時に発生するごみの収集運搬は、本市が収集区域を定めて許可している一般廃棄物収集運搬許可業者に依頼してください。

この仕組みは、福岡市のページに書かれているものです。ほかの自治体に同じ許可があるかどうかは、今回引いた横浜市・藤沢市のページには書かれていませんでした。

無許可の業者に頼むと、どうなるの?

許可のない業者に頼んだら、困るのは業者だけ?

藤沢市は、頼んだ側も罰せられる可能性がある、としています。

藤沢市と横浜市は、無許可の業者による不用品の処分は法律違反だと書いていました。回収された不用品が不法投棄された事例も報告されている、という案内です。

藤沢市のページには、頼んだ側についての一文もありました。

依頼した業者が不法投棄などをした場合、処理を依頼した方自身も罰せられる可能性があります。

国民生活センターは2018年に、遺品整理サービスをめぐる相談について公表しています。

全国の消費生活センター等には、「高額な追加料金が発生した」、「処分しない予定の遺品が処分された」など、料金や作業内容に関する相談が寄せられています。

同じ資料は、消費者へのアドバイスをいくつか挙げていました。そのうちの1つです。

残しておく遺品と処分する遺品を明確に分けておくようにしましょう

この記事で確認したこと

遺品整理で出る不用品と許可
・遺品整理で出た不用品は一般廃棄物にあたる(藤沢市)
・運ぶには「一般廃棄物収集運搬業」の許可が要り、業者が持っているかを確かめる(横浜市・藤沢市)
・業者が許可を持たないときは、出す側が許可業者と契約する(委任・サポートは可)
・古物商許可・遺品整理士・産業廃棄物の許可では家庭のごみは運べない(藤沢市)
・福岡市には、遺品整理と引越しに限った許可がある

許可の名前が1つに絞れると、見積もりの前に尋ねることもはっきりします。

よくある質問

見積もりのとき、何を尋ねればいいですか

横浜市と藤沢市の案内に沿うなら、「一般廃棄物収集運搬業」の許可を持っているかどうかです。持っていない場合に、どの許可業者と契約する形になるのかも、あわせて確かめる流れになります。

自分の住む市の許可業者は、どこで分かりますか

横浜市は許可業者の一覧を、藤沢市は遺品整理に対応できる許可業者の一覧をPDFで公開していました。福岡市は、福岡市事業用環境協会に問い合わせるよう案内しています。ほかの市区町村の扱いは、それぞれの自治体の案内を確かめる必要があります。

業者とトラブルになったら、どこに相談できますか

国民生活センターの資料は、事業者とトラブルになった場合には消費生活センターに相談するよう書いています。

この整理が変わる条件


出典

依頼の前に、お住まいの自治体の最新の案内をあわせてご確認ください。

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